8/26/2011

バナナプディング

昨日は夫の誕生日だったので、車で2時間ほどのSt George Islandという小さな島に泳ぎに行った
ここはわたしたち夫婦の行きつけで、いつもは島についてすぐのところにあるパブリックビーチに行くのだが、今回は特別に6ドル払って外れにあるステートパークに行ったら、きれいで、人もほとんどいなくてすごく良かった いつもビーチには盗られたらいやだからカメラは持っていかないのだが、この日は平日で学校が始まる時期ということもあってか人出がほぼないような状態だったので、持っていって写真を撮ればよかったと思う 帰ってきたあとは、夫のリクエストにより、から揚げとマカロニサラダ、味噌汁の晩御飯 それから、昨日から下準備しておいたバナナプディングをバースデーケーキの代わりに出した

バナナプディングというのもたぶん南部のデザートだと思う 夫が子どもの頃、誕生日にはおばあさんに何でも好きなデザートを作ってもらうことができたそうで、いつもバナナプディングをリクエストしたという そういう話はいつもしてもらっていて、ひょっとして作れというプレッシャーがかかっているのかとも思いつつ、もともとお菓子作りあまりしないわたしは放置していたのだった 笑 今回は、いつも誕生日にあまり大したことをしてあげなくて不憫に思っていたので、作ってあげることにした
といっても、見かけがどういうものかというところからわからなかったのだが、この前アラバマのバイユーラバトリーで入ったレストランでちょっとだけ食べたので、その記憶を元に見よう見真似で、最終的にはこのレシピを使って作ってみた  プディングというよりは、カスタードクリームにバナナと、バニラウェハースと呼ばれるクッキー(下の写真に写っている真ん丸いもの)を崩して入れたお菓子、という感じだ
夫はお愛想か今まで食べたバナナプディングでおいしいと言ってくれた(いや、たぶんおばあさんのやつの方がうまいだろう)が、これが何しろ甘い 脳が損傷を受けるんじゃないかというぐらいの強烈な甘さだ 
もちろん南部のデザートは甘くてなんぼ バタークリームたっぷりのバースデーケーキなどは全然好きでないわたしだが、ケーキでないこの手のデザートなら、何となく食べてしまえるほうだ とは言え、作りすぎて大量に残ってしまった

糖尿の検査を再来週に控えているので、本当なら甘いものは控えたいところだが、あと3、4日は夫婦ふたりでこれを食べ続けることになりそうだ ジャンクフードと甘いものが好きな隣人にも密かに処理班になってもらおうと期待していたが、昨夜食べさせたら、「実はフルーツ全部にアレルギーがある」と言って、あまり食べなかった えっ、フルーツ全部?それアレルギーとかじゃなくて偏食なだけだろ、とも思ったが、食べられないもんは仕方がない

まあ夫に喜んでもらえたのでよしとして、黙々と残りを食べよう

8/21/2011

ジョージアピーチをなめてはいけない

ジョージアといえばピーチ、ピーチといえばジョージアというくらい、桃はこの州でも一番の特産物である 黄桃で、この辺のスーパーではフレッシュなものも安く手に入る
わたしは今まで、この桃は大したことなくて、日本の白桃の方がおいしいんじゃないかね、などと言っては、夫(この人はジョージア州の高校を出たので桃には一家言ある)にジョージアピーチをなめるんじゃないと言われていた
ところが最近、行きつけのウォルマートの商品管理のひどさとレジ前のカオスっぷり(人の配置の仕方がめちゃくちゃなので、いつもレジ前に人が足りなくて行列になっている)に耐えかねて、行くのをやめた それで、近所のWinn Dixieという別のスーパーに行って、たまたまジョージアピーチが出ていたので買ってみたら、これがもう何じゃこりゃあと叫んでしまうぐらいうまかった
つまり、ジョージアピーチがおいしくないのではなくて、わたしがおいしいジョージアピーチを食べたことがないだけだったのだ ウォルマートにはあっても硬くて小ぶりのものしかおいてないし、そもそもカリフォルニア産が多くてジョージアピーチ自体なかなか見つからないことが多かったからだ 勝手な思い込みで決め付けてはいけないと、桃に誓って書いておく

思い込みといえば、わたしが住んでいる地域の日本人の人たちはウォルマートに対するネガティブバイアスが強い 確かにうちの近所のウォルマートは上記のような問題があるのだが、市内にはほかにも新しくてきれいなウォルマートもあるし、わたしがミシシッピに住んでいたときは、ウォルマートは町に二軒しかないスーパーのうちの二軒だったから、誰もが買い物に行くし、経営戦略(店員を最低賃金で酷使するので結局社員教育もへったくれもなくなってしまう、中国のスウェットショップで安物を大量生産しているetc)にまつわるネガティブなイメージは別として、特に店そのものを悪くいうような人はあまりいなかった(実際そこの店舗はいろんな点でこの前までわたしが行っていたところよりしっかりしていた)
ところがここでは、ウォルマートそのものをものすごく馬鹿にしていて、話を聞いていると要は貧乏人(i.e.黒人とメキシカン)が行く店では買い物したくないと言っているようにしか思えない人がいるので、一体何なんだろうと思う 品物がものすごくいいとは言えないし、他にも色々と選択肢があるので別の店(PublixなりWinn Dixieなり)に行くというのなら話はわかるのだが、そこに人種にまつわる余計な一言を無神経に添えてくる人たちがいる これはスーパーのことだけでなくて、何でもそうだ もちろん日本人の人が皆そうだと言っているのではないのだが、ここでわたしが日本人の人たちとほとんど交流がないのは、そういう種類の人たちを避けて通ってきた結果でもある

腹立ちついでに書いてしまうが、一度わたしが日本にいるときから知っている人が、「黒人は働かない」ということを真顔で言ったので、本当に驚いたことがあった というのも、わたしはこの古典的なステレオタイプであるところの文句が、19世紀のプランテーションノベルとかでなく実際に21世紀に生きている人の口から発話されるのを、アメリカに来てから二回しか聞いたことがないからだ 一度目は、ミシシッピの初老の白人男性だった 一緒に車に乗っているとき、"Let me tell you a secret..."というから何事かと思ったら、"Black people are lazy." と彼は言ったのだ この人は日本人留学生であるわたしには終始大変親切で、個人的に向こうに行ってから色々と世話にもなったのだが、二言目にはこの手の発言をする人だったので、わたしは決して心を開く気にはなれなかった

やはり、ジョージアピーチをなめてはいけないと思う

おばあさんにもらったBest of the Best Mississippi Cookbookという本のレシピでピーチコブラーを作ったらおいしかったので、下に記しておく

めんどくさがりのピーチコブラー(Lazy Peach Cobbler)
砂糖 1カップ(アメリカの1カップは240mlぐらい)
セルフライジングフラワー 1カップ
牛乳 1カップ
バニラエッセンス 小さじ1
バター スティック一本分(たぶん日本に売っているバターを縦半分に切ったぐらい)
桃 10個(黄桃がよい 実は10個はちょっと多い気もするので、8個ぐらいでもいいかもしれない)

材料を全部混ぜ、油を引いた耐熱容器に入れ、皮を剥いて細かく切った桃を上に載せ、350 F(176℃)に余熱したオーブンで一時間ぐらい焼く レシピには45分とあるが、やってみたらもう少しかかった
生地が桃の上に上がってきて、焦げ目がついたらできあがり あんまり焼きすぎて普通のケーキみたいになるより、ある程度しっとりとした状態で止めた方がよい
バニラアイスクリームを載せて食べるのがおいしい
熟れすぎた桃でも、こうしてコブラーにするとおいしく食べられる

8/15/2011

アラバマの夏休み

10日ほど、夫の両親の家があるアラバマに行っていた
両親はふだん韓国に住んでいて、夏休みにこちらに戻ってきていたが、お母さんの方は早めにこちらを経って夫の姉が住むカリフォルニアに行き、わたしたちが訪れたときはお父さんひとりだった
夫とお父さんはおもに庭仕事(家が建ったばかりで何もないので、土をならしたり草を刈ったり) をして過ごし、わたしはなんだか洗濯ばかりしていたようだ でも、久しぶりに生産的なことを何もしないで、いい息抜きになった

ある日は、家のある場所からMobile湾を挟んで向かい側にある、Bayou La Batre (バイユーラバトリーと発音する)という小さな漁村まで三人で出かけた(地図参照) 


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ルイジアナだけでなく、メキシコ湾岸のミシシッピとアラバマにもフランス人が建てた町は多く、ここやMobileもそのひとつだ 映画「フォレスト・ガンプ」でババ・ガンプ・シュリンプ株式会社が設立されたのは、このBayou La Batreという設定ということだ(日本で見たときは意識してなかったが、フォレスト・ガンプはアラバマ出身なのである 実際にこの漁村には原作者の一族であるGump家というのがあって、夫の母方の一族と遠い親戚にあたるんだそうだ)
ここは一見、ただの南部の小さな田舎町なのだが、ヴェトナム戦争後は飛躍的にヴェトナム系移民が増えたという それから驚いたことに、統一教会(Unification Churchと英語では言う)の建物があった お父さんによると、70年代ごろアメリカの若者がカルト一般に強い興味を持っていた頃に、信徒を増やしたという
ここに来た目当てはお父さんが30年ほど前に来たことがあるというシーフードレストランだったが、たどり着くとつぶれていた ガスステーションで地元の人に話を聞くと、カトリーナの影響で閉店に追い込まれたという 残念だったが別の店でなんとか昼食を取ることができ、いちおうエビも食べた その後は、少し離れたDauphine Islandという島まで車を走らせ、そこから車ごとフェリーに乗って湾の反対側に戻った

ところでいつもなら、アラバマの家にはおばあさん(夫のお父さんのお母さん)がいるのだが、なんかかんかで機嫌を損ねて、ミシシッピの自分の家に帰ってしまったらしい もう帰ってこないでミシシッピにずっといる、と言っているのだが、どうなるだろうか
夫とお父さんに言わせると、この騒動の陰には、今ミシシッピに滞在している彼女のきょうだいのメアリーおばさんという人がどうも絡んでいるのではないかということだ メアリーおばさんという人はふだん南フロリダに住んでいてわたしは会ったことがないが、トラブルメーカーなのでおばあさんに何か吹き込んだかもしれないという
メアリーおばさんは、おばあさんときょうだいなのだが、ひとつも似ているところはないと夫とお父さんはいう
主な特徴は
1.声がでかい
2.いつも酔っ払っていて鬱陶しい(ちなみにおばあさんは酒を一滴も飲まず、自分の目の前では誰にも飲ませない)
3.たまに酔っ払ってないときも素で鬱陶しい
ということだ 
一度お父さんがミシシッピで彼女をイタリアンレストランに連れて行ったときは、店内の他の客と店員全員に間違いなく聞こえるであろう大声でこう言ったという:"This ain't no Ai-talian restaurant!!!! This place must be run by damn Jews from Miama!!!!" (メアリーおばさんは、MiamiをMiamaと発音するのが洗練された言い方だと思っているらしい) その場に同席した家族全員いたたまれない気持ちになったであろうことは間違いない また別の機会に、お父さんがHolly Springsというミシシッピの田舎町に彼女を連れて行ったときには、通りを歩いている黒人を見て、再びものすごくでかい声で、"Look at her!!!!! She must be from Africa!!!!"と。。。

南部に暮らしていると、たまーにこういう、Flannery O'Connorの小説から飛び出してきたような、存在自体が悪い冗談みたいな老人に出会うものだ ちょっと怖いもの見たさで会ってみたい気もするのだが、夫にそういったら、俺はもう全然会いたくないし、そんな南部研究的に面白い人物でも何でもなくて、単にうざいだけなのでやめとけ、ということだった 笑