6/08/2012

子どもの世界

アラバマの夫の両親の家を引き払ってフロリダに戻ってきた
再びstudent housingという名のボロアパートに舞い戻ったのだが、以前は2BRだったのが今回は、比較的新しいとされるエリアの1BRに乗り換えた 手狭ではあるが、前の部屋みたいに他人の髪の毛がくっついたまま床にワックスかけたりしてなくて、まあまあ清潔だし、バスタブも広いし、けっこう気に入っている

そう思っていた矢先、マネージメントオフィスから配布された冊子を見ていたら、われわれの住むエリアの住む建物には、人体に有毒な鉛を配合した塗料が使われている場合があるという 上から何度も塗りなおされているため実際には影響ないのだが、剥がれてきたのを口に入れてしまったりするといけないそうだ うちはバスルームのドアの塗料が剥がれてきていたので、メンテナンスの人に来てもらってサンプルをテストしてもらった 結果はシロで、ドア以外にも壁やプラスティックの玩具などいろいろテストしてもらったが、いずれも問題なく、胸をなでおろした

この一件で気づいたんだが、今の部屋が建てられたのは、1964年 前の部屋は、1960年 何だ、新しいと思ってたのにほとんど変わらないじゃん と同時に、ちょっと時代を下るととんでもなく危ないものがふつうに生活空間の中で使われていたのだということを思って、何だかおそろしい

育児の仕方ひとつにしても、親世代と自分らとではだいぶ情報に差があり、話を聞くととんでもないことをしていたりする たとえば夫はどうも赤ちゃんのころお母さんに蜂蜜を与えられていたらしい(蜂蜜にはボツリヌス菌が含まれていることがあり、抵抗力のない乳児には危険なので1歳までは厳禁 そして、離乳食すら始めていない段階で母乳やミルク以外のものを与えることにそもそも栄養学的なメリットがない) よく死ななかったな! 

お母さんが娘にべったりで、という話を以前に書いたが、どうも彼女は夫の姉Rにも同じことをしてたようだ  Rが完全母乳育児をしていたところ、お母さんは(ミルク礼賛世代なのと、おそらく自分が哺乳瓶でミルクあげられなくてつまらないので)それをやめさせようとしたという 道理で娘が生後2週間くらいで、わたしが母乳の出が悪く悩んでいたときも、今すぐ断乳したほうがいいといつになく強い口調で言ってきたことがあったっけ。。。しかもRの場合は悪いことにお父さんまで「いつまでも母乳なんかやってると弱虫になる」と(いつまでもってそのころ生後一ヶ月ぐらいだったらしいが)加勢し、その間お母さんはRに隠れて哺乳瓶で水をあげ続けていたという 見咎めて叱ると、「水飲ませないと脳に穴が開く」と言ったとか

最近までうちの両親に比べると、夫の両親はだいぶまともと思っていたのだが、夫や姉たちの話を聞くに、めちゃくちゃなところもけっこうあるとわかってきた 2ヶ月ほど前にも、いきなり養子を取ると言い出したことがあった オハイオかどこかの11歳と12歳の兄弟で、18歳まで両親が後見人になる契約らしいが、彼らにもしものことがあった場合に別の人間が後見人になるようサインしなければならないらしくて、それをわたしたち夫婦に頼んできた 子ども3人、孫7人いてこの上養子?というのもまずあるし、本当に何かあった場合に問題含みの(養子縁組される子どもたちには過去のトラウマなどで心理的問題があるケースも少なくなく、養子先の家庭で問題が起きることもけっこうあるそうだ)プリティーン二人を大学に入れるまで育てるなんて、未だに学生やってるわたしらにできるわけないだろ、というわけで丁重にお断りした 

結局Rや叔母さんにも断られて、養子話は流れたが、そのときのRの話によると、両親が養子を取ろうとしたのはこれが初めてではなく、自分らだけでも十分貧しいのに、縁もゆかりもないアカの他人を連れてきて家に住ませる(そして大抵うまくいかない)ことも何度もあったという たとえば80年代のある時期には、ベトナムのボートピープル(!)のウィーとウェイの兄弟が家にいたことがあった ウィーとウェイは本当は18、9歳ぐらいだったらしいが、その歳で移民してきても学もないしできることは高が知れているということで、大幅に歳をごまかして小学校に通っていたらしい 家の誰もそのことに気づかなかったが、ある日ウィーだかウェイだかが、自分のことをからかってくる同学年の子どもらをボコボコにする(本当は19歳だから強くて当たり前)という事件があって、年齢詐称がバレたという

両親のめちゃくちゃぶりは、養子の件にとどまらない 引き続きRの体験談――
(1)ある日海外旅行から帰ってみると、家族が引っ越して家を引き払ってしまっており、書置きひとつも残していかなかったので、しばらく誰とも連絡がつかなかった
しかも実はこれすら初めてのことではなく、
(2)子どものころ、友だちの家でのスリープオーバーから帰ってみると、家が引っ越してしまっていて、誰もいなかった
というのもあったらしい

こういう話を聞くにつけ、よく夫と姉たちはグレなかったな~と感嘆させられる まあしかし、親と親の子育て法については、自分ちも人のことを言えた義理ではない これは書いたかどうか覚えてないが、うちの母親に離乳食を始めた話をしたとき、「やっぱりうちの兄ちゃんがあんなんになったんは離乳食に失敗したせいかなぁ」とぼやいていた いや、自閉症と離乳食なんてどう考えても無関係だろう(ていうか、失敗って一体何したの)、第一ちゃんとした医者に見せたことあるのか、と返すと、「うん、大学病院の女医さんに診てもらったらな、この子はあんまり頭が良くないですよ~って言っとったわ」と

よってたかって子どもの世界を危険にしているのは、実は大人たちだったのだろうか つくづく、自分たちよく生き延びたものだと思う