4/02/2011

マルディグラ考

地震のことがあり、書く機会を失ってしまっていたのだが、春休みにはニューオーリンズでマルディグラと言われるカトリックのお祭りを見てきた ニューオーリンズ自体は3回目だが、マルディグラの時期に行くのは初めてでとても楽しみにしていた

マルディグラとは、フランス語で「太った火曜日」 という意味 このシーズン通して行われているカーニバルの、クライマックスの日である 次の日の「灰の水曜日」からは、カトリック教徒は日曜以外は肉食を控え、魚や豆などでプロテインを補給して節制を試みる うちの不真面目なカトリックの夫も、今年は魚ダイエットを可能な限りやるというので、わたしも付き合って、魚を食べてます

祭り自体は、もちろんカトリックといっても一方ならぬバリエーションがあるが、NOのマルディグラはいろんなクルーがフロートと呼ばれる巨大な山車でメインストリートを練り歩き、沿道の観客たちにビーズやらダブルーンと言われるコインやらを投げてくれる 山車に乗るクルーたちは、伝統的には秘密結社のメンバーみたいなもんなので、仮面で顔をかくしている
リオのカーニバルのように露出した衣装のねーちゃんたちはいなくて、マーチングバンドプラス山車という構成が一般的だった わたしは月曜の夜と火曜しかパレードを見ていないけど、相当の数の戦利品を持って帰った

ところで、マルディグラのもうひとつの風物詩といえば、ねーちゃん方が乳を露出することである 町全体でこのようなGirls Gone Wild 的な風景が見られるかといえばそれは誤解で、そういうことするのは、バーボンストリートを中心としたフレンチクォーターの酔っ払いだけである  フレンチクォーターにはよくある、二階部分がバルコニーになってる建物から、ビーズを投げてくるやつらがいるのだが、そいつらが、ストリートにいるねーちゃんたちに向かって、乳見せろ~!でないとビーズはやらないぞ~と煽り立てるので、お約束とばかりに着ている服をまくり上げ、彼女たちは乳を晒すのである

これ、前々から物見遊山で見てみたい気持ちはあったけど、実際に見てみた感想としては、正直いってかなりがっくりくるものがあった
まずもって、乳を出す人々の平均的クオリティーは、かなり低い(男目線ですみませんね) きれいな若いねーちゃんなんてまずいなくて、おばさんか肥満の人ばっかり 50~60代とおぼしき初老の婦人が乳を出して、夫らしき男性が延々それをビデオ撮影していたのを見たが、正直反応できなくて固まってしまった それから、トップレスのままでふらふらと歩いている人までいた(ちなみに警察が巡回しているので、こういうのは即逮捕もありえる 実際全裸の男がパトカーに乗せられてるのを見た) 

翻ってバルコニーからビーズ投げている奴らを見れば、明らかに親が大金持ちという理由だけでこの日にこの場所を貸切できているんだろう、と思わせる、アホさ丸出しのフラタニティーキッズばっかり そんなやつらと、泥酔しているばかりにアホくさいビーズのためになんだってやってしまう女性たちとが織り成すこの構図、はっきりいって微妙です

上にいる彼らと下にいる彼女らを分かつものは、なんなのか?
こういうことを考え出すと、自然と連想はカトリーナに飛ぶ そもそもフレンチクォーターをはじめとする観光地は、ハリケーンの被害を受けなかった 一方で、町の中心部を少し離れれば、沈み行く家に留まり 続けた人たちがいた 逃げたところで、どこにも行き場はないと知っていた人たちがいた

上と下を分かつものはなんなのか?
わたしはこの町のカーニバレスク的エネルギーには敬服しているけれど、「復興」後の町にいてすら、そんなことに思考が及ばざるを得なかった

それが数日後の出来事に対する予見であったなどとは、けっして言いたくないけどね

てか自分自身が名物カクテル、ハリケーンで泥酔して道で吐いたぐらいだから、ずっとこんな真剣なこと考えていたわけでも、ないのだ
おかげさまで酒をやめるいいきっかけになりましたとさ