南部は北米では一番オクラがよく食べられる地域のはずだ
しかし南部におけるオクラの調理法は大きく分けて3つしかない
すなわち
1)フライドオクラ
2)オクラのシチュー(これは、ジョージア南部でBrunswick Stewと呼ばれてるものとたぶん同じものを指していると思われる オクラとトマト、たまねぎ、コーン、何かしらの肉(ベーコンなど)などを煮て作る)
3)オクラのガンボ(これはルイジアナミシシッピアラバマにおけるメキシコ湾岸周辺の、いわゆるクリオール文化圏で食べられる)
しかし、アマゾンに注文して届いたばかりの料理本Janis Owens, The Cracker Kitchen によれば、
4)オクラのピクルス(Pickled Okra) というのもあるらしい よかった、バリエーションが増えた
今晩はこの前夫が作ったレッドビーンズアンドライスが冷凍庫に残っていたので、おかずにとフライドオクラを作った 食べながら、ビンラディンが死んでから町でUSAコールをする学生たちのニュースが日本でずいぶん流れたのか、何だかもうアメリカ人全員狂ってると思ってる人もいるようだが、みたいな話をした ああいうのはやはり、何かにつけ酔っ払って騒ぐ機会を手薬煉引いて待っているアホ学生のすることであるから、特に心配もしてないのだが、そこから話が飛んで、そういえば南部のレッドネックはいつの間にかずいぶんナショナリスティックになった気がする、と夫が言った
これはわたしも確かに気づいていた たとえば自分が研究している30年代の南部のワーキングクラスというのは、(当然南北戦争時代の名残でもあり、また禁酒法下の酒の密造とか大恐慌後のニューディールとか同時代的な問題も絡んでいるが)とにかくアンチ連邦政府の介入、アンチ法律一般、アンチエスタブリッシュメント、権力と名のつくものは大嫌いなアウトロー度満点な人たちなのであって、当時のカントリーソングの歌詞にしてもそうしたアウトロー性を歌ったものが多かった
それが、これは前にどこかにもう書いたことがある気がするが、気がつけば今ではカントリーはアメリカ万歳、家族の価値万歳みたいな保守層の価値観を代表するような音楽ジャンルとなっている(というか今のカントリーなんて、音の作り自体はありふれたポップソングでしかなく、よくよく歌詞を聴いてみると、俺がクォーターバックで彼女がチアリーダー、ピックアップトラックがどうしたこうしたでイェ~イ♪とか言ってるので、その時点で漸くああこれはカントリーなのねとわかる程度のものに成り下がっているが) それに呼応してか、アウトローとしてのレッドネックも、今この時のような機会をここぞとばかりに捉えては、やれアメリカ万歳、外国人と非キリスト教徒は出ていけだのという保守的な愛国主義の代表者になったということだろうか
夫はこの流れはやはり911以降でないだろうかと言っていたが、実はこれはもっと昔から始まっていたのじゃないだろうか 自分の感じとしてはやはり80年代のレーガン政権下のある時点、テレビを通じて米国民の経験が均質化していった頃が分岐点かなあという気がする 『ロッキー4』的なアメリカが、南部を捉えてしまったのだろうか そのうちレッドネックも南軍の旗を飾るのをやめて、アメリカンフラッグだけになったりして…
そんなことを考えながらもりもり食べきったフライドオクラのレシピ:
1.オクラの輪切り適量(冷凍オクラの場合、電子レンジで解凍しておく)を、少量のミルクに浸しておいて粘り気を出す
2.コーンミールと小麦粉を2:1の割合で合わせる(夫はもっとコーンミールの割合が多いほうが好きと言ったので、次はもっと増やしてみる)
3.粉のミックスに、塩こしょう、カイエンペッパー、ガーリックパウダーなどを適量足し、味をつける(ケイジャンシーズニングで代用してもよい)
4.オクラを3.にしっかりつけて、油で揚げる
おいしいよ!
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