2/02/2011

映画のクラス

今学期は、何の因果か日本映画のクラスを教えている
学生の人数は60人と、わたしにしてはかなりの大所帯、しかも映画を見やすいようにと、キャパ100人のauditoriumでやってるので、毎回声張っています

先学期はほとんど日本語メジャー対象に文学の授業を教えたけど、今学期はメジャーじゃない学生もたくさん混じっているからか、映画オタクはただの日本オタクよりちょっとだけ賢いのか、学生のレベルは上がった気がする やっていて返ってくるものが違うという実感がある フィルムスクールの子もいるから、技術的な話をしてもついてきてくれるし
あとはまあ週一回は映画見て、一回はディスカッションで基本学生に喋らせる授業なので、 はっきりいって先学期より楽 ていうか、正直本当の専門でないだけに、文学教えるよりプレッシャーが少ない 昔の貯金(元映研)でやってける面も、あるからかね

しかしまあ、4週目に入ってちょっとダレてきたのか、先週のスクリーニング(溝口健二の「山椒大夫」だった)の時は、どうも一部の学生がざわついてて、笑うところじゃないのに笑ったり(古い映画だから、もちろん今の視点で見たら突っ込みたくなる気持ちはわからないでもないが)、ほかの真面目な子たちからも苦情が出るくらいだった

だから昨日のディスカッションの時、どんな映画にもそれぞれの歴史的瞬間てのがあって、そこでは(たとえわたしたちにとって意味をなさなくても)当時の観客にとってはすべてが意味をなしていたんだから、そういう瞬間に対して敬意を払ってほしい、ということをちらっといったら、その日はなんだかみんな神妙にしていた

60人もいれば全員が真面目に議論に参加して、というわけにはとてもいかないけど、数人でも何か掴んで帰ってくれる子がいれば、基本的にはそれでいいと思っている 喋らなくても宿題のワークシートはみっちり書いてくる子もいるし、それでいい

いろいろ考えた末にここでの仕事は今学期一杯にしようと思っているのだが、最後だから、こっちも楽しまないとね

さて、明日からの二週は日活ヌーベルバーグ、まず中平康の「狂った果実」、次は清順の「殺しの烙印」
学生の反応が、楽しみだ

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